グリーフ(悲嘆)の事例01

皆さんこんにちは!

When one door of happiness closes, another opens; but often we look so long at the closed door that we do not see the one which has been opened for us.

ひとつの幸せのドアが閉じる時、もうひとつのドアが開く。しかし、よく私たちは閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気付かない。

ヘレン・アダムス・ケラー(Helen Adams Keller、アメリカの教育家、社会福祉活動家、著作家)

今日は、「グリーフ(悲嘆)の事例01」。

グリーフ(悲嘆)の事例をどこから始めたらいいのか、どのように述べていいたらいいのかを考えるとき、私自身の経験から語っていくのがいいのではという思いに至った。

私は、2005年11月5日、結婚生活もあと少しで10年というところで妻と死別した。

その年2005年の12月下旬、日本経済新聞の夕刊に死別を経験した人がお互いを支え合う自助グループの紹介記事があった。早速、その事務局へ電話をしたが年末と言うことで、年が明けての例会を案内された。

新年になり、月例会に毎月参加するようになった。メンバーは、30代から80代と幅広い方達が伴侶を亡くしたことでこの会に参加していた。私も当時50歳で参加していた。

しかしながら、月例会や他のイベントに参加することを重ねていく内に、違和感を感ずるようになった。それは、多くの参加者の年齢層が70代、80代であり、私と同じ年齢やもっと若い参加者との死別における心の葛藤や様々な課題が大きく異なっていたことによる。

その半年後に、30代から50代の有志で、この会とは全く別に新しい会(Good Grief Network)を立ち上げた。当然ながら、その違和感のある会は、退会してである。

新しく立ち上げた会は、グリーフやビリーブメントの実証理論と共に自分たちのグリーフの実践をしていく場として様々な試みをしていくこととなった。この新しい会は、現在も、参加者や時代的背景に従って常に様相を変えながら現在も活発(ある意味、残念なのですが、それは、若くして伴侶と死別する人が多くいるということで)に活動している。

下記は、発足当時の趣旨を含む案内になる。

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From  Greif to Memories

『グッドグリーフ・ネットワーク』について

(Good-Greif Network)

私たちの会で重視する基本的な方針は、体験者自らが「語る」ことです。語ることの重要性は欧米の様々な悲嘆研究や臨床例にもその有効性が実証されてきています。そして日本でも多くのサポートグループがこの手法を実践してきています。

当会では、『安心して誰もが語りたいときに語り、涙を流したいときはいつでも流せる』安息、癒しの場であることを目指しています。

体験を語ることは、ユング心理学でいうところの自分の生きている姿を物語化(constellation)することであるといわれます。Constellationとは星座のことで星座自体は宇宙に散らばる無数の星があり、そこに古来、人間はいくつかの星をつないで星座を作り、そこに物語や神話を作りました。

私たちもこれと同じように胸の中に無数にある悲しみの星屑に文脈をつけストーリーを作る。こうした作業によって初めて、私の人生とはこういうものなのだ、悲しみもあれば楽しみもあるものだと納得させることが出来るのだと思います。

日本におけるホスピス医療の第一人者である柏木哲夫先生は近著の中で『人生の中で起こる様々な出来事がたとえ不都合なことであっても、きっと何らかの積極的な意味があるという基本的な信念を持っている人が、自己成長を遂げることができる』という、知見を披露されています。(「人生の実力」幻冬社より)この考え方こそが、私たちの提唱する「グッドグリーフ」の理念を的確に表しているといえます。

つまり、この会は悲嘆感情の自由な発露の場であると同時に、自身の体験から沸きあがる悲嘆を学問的の立場から論理的に昇華させることでその感情の整理をする機会を提供し

サポートいたします。)

<メンバー>

30代から50代ぐらいの伴侶を亡くされた男女が中心です。

(基本的には年齢や死別の死因は特定しませんが、現在のところ上記の年代15名程度が

中心となって活動しています)

<主な活動内容>

①テーマ・トーク

様々な死別体験に関連するテーマについて語り合う。

(月1回の定例、2時間程度、5~7名程度が一つのグループ)

⇒ 議論の進行については各回1人のファシリテーターを決める。

⇒ 毎回、一人5分程度でこの1ヶ月にあった「私の癒し体験」を話してもらう。

次回のテーマは必ず決め、各人がそれについての考えを語れるようにする。

(テーマ例)

a) 配偶者との死別体験で見えたこと 

b) 罪悪感について

c) 最期の言葉を私はどのように受け止めたか?

d) 私が妻(夫)に出来ること、妻(夫)が私にくれたもの

e) 死の受容とは

  1. F) 時間は悲しみを解決するのか

g) 再婚について

②グループ・ミーティング

事前にメンバーを募り、各回ごとに「悲嘆のプロセス」を経験のあるファシリテーターが傾聴しグリーフワーク(悲嘆の癒し作業)を支援します。

(※通常120分×6回。有料。※症状に応じて、個人カウンセリング、精神科医などの受診を紹介します)

③分科会活動

定例会のほか分科会として以下のような活動も随時主宰する。

a)映画、ビデオ鑑賞会

b)「死生観」「人生論」「喪失体験」など、必ずしも伴侶の死に捉われない幅広い分野に関する書物を使った読書会

→ 個人的な意見を述べてもよく、議論の場とする。

c)専門家、様々な死別体験者を招いて講演会、シンポジウム、研修会などを行う

d)他のサポートグループとの交流、情報交換。

※現在、特に会費等はありません。会合があるごとに、場所・飲食代として1000円程度ご負担いただいています。

※電話番号、メールアドレスなどを登録し、他の気の合うメンバーと自由に連絡などを取っていただくことができます。

連絡先(筆者省略)

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このような趣旨と活動内容を決めて出発した。実際の活動内容は、今後展開していく。

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