生きる意義

皆さんこんにちは!

When we are no longer able to change a situation, we are challenged to change ourselves.
状況を変えることができなくなったとき、私たちは自分自身を変えることに挑戦する。
ヴィクトール・エミール・フランクル(ドイツ語: Viktor Emil Frankl、オーストリアの精神科医、心理学者。著作多数。日本語訳も多数、代表作は『夜と霧』)

愛蔵の、ミュージックドキュメンタリー映画を久しぶりに観た。それは、ミュージックドキュメンタリー映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」である。いつ観ても新たな感動を生む映画である。

ギタリストのライ・クーダーがキューバに旅行に行った際、それまでキューバ国外ではほとんど知られることのなかった老ミュージシャンとセッションを行うことになって制作し、世界的にヒットした音楽アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」がアルバムデビューした。

そして、このアルバムは、ミュージックドキュメンタリー映画の制作のきっかけを生む。

ライ・クーダーと以前から親交のあった『パリ、テキサス』や『ベルリン・天使の詩』を監督したヴィム・ヴェンダースとの共同プロデュースでこの映画の制作が開始された。

同監督は、ライ・クーダーと共に撮影クルーを伴ってキューバへレコーディングに同行し、レコーディング風景やアムステルダムやカーネギーホールでのコンサートの模様を映像の中心にしながらもメンバーへのインタビューも挿入された構成になっている。

演奏も素晴らしいのであるが、メンバーへのインタビューは、また魅力を感じる。音楽を始めたきっかけ、ミュージシャンとして輝く人生、そしてキューバ音楽の輝いた巨人達は、次第に表舞台には出なくなり「葉巻を売ったり」「靴を磨いたり」して暮らしていたと映画の中かで語る。その語り口には暗さはなく、何でもないことのようにさらりと語っていた。実際には辛かったことも、苦しかったこともあったと思うのであるが。

そのような苦しみや辛さを乗り越えてきたからこそ音楽に深みがあるのであろう。人生の陰の側面、暗い側面を見てきたからこそ、音楽が輝き、演奏も歌声も輝いて聴く者の心を打つのであろう。

そしてライ・クーダー達によって、再び表舞台に登場することになったときにその人生はさらなる深みと輝きが訪れてた。

映像からキューバが置かれた歴史や時の権力者から圧政されても民族の誇りを持ち続けているキューバの人達の姿に感動と頭が下がる思いである。豊かさとは何か、人生とは何かを考えさせられる。

キューバ音楽のもつ躍動感の中にも、歌詞にも込められた“生きる”とは何か?を問われているような気がしてならない。

この映画を久しぶりに観て、再度こんな風に年を取っていきたいなぁと心から思った。

人生とは、なんと素晴らしいものなのか、どんなに辛いことや苦しいことがあって“生きる”ことの大切さや意義を改めて体感させてくれた。

私が最初にこのミュージックドキュメンタリー映画を観たのは、がんで妻を亡くしてから友人達(男女)が気遣って訪問してくれたときに、自宅にホームシアターがあるのを見て、「市村さんがよければ毎月、映画と食事の会をここでやらせてもらえませんか?」の申し出であった。私の心の癒やしになればとの有り難い申し出であったし、私も愛妻を亡くしこれからの人生をどう生きていけばいいのかと心の空虚さを感じていたときでもあったので受け入れた。

映画と食事の会で上映した作品の一つが「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」であった。

涙を流しながら観た覚えがある。

この映画を通じて亡き妻は、教えてくれている。

「魂を磨く・・・病気になって特に魂は磨かれ、光り輝いていのちのバトンとして手渡された。どんなに苦しくても、悲しくても『生きる』という決断をすることの大切さ。」を。

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