グリーフ(悲嘆)のプロセス 03

皆さんこんにちは!

The greatest glory in living lies not in never falling, but in rising every time we fall.

生きるうえで最も偉大な栄光は、決して転ばないことにあるのではない。

転ぶたびに起き上がり続けることにある。

ネルソン・マンデラ(元南アフリカ共和国大統領)

今日は、「グリーフ(悲嘆)のプロセス03」。

今日は、精神科医でグリーフワークに積極的に取り組んでいた平山正実氏(ひらやま まさみ、1938年9月9日 -2013年12月18日)の4段階説を紹介する。

平山正実の4段階

1.ショック(ストレス)

感覚の麻痺、涙が出ない、感情が湧かない、足が地につかない。

何も考えられず、混乱状態の中、何にも集中できない。

日常生活の簡単なこと(食べる・眠るなど)さえもできない状態。

2.怒りの段階(防衛的退行)

悲しみ、罪責感、怒り、責任転嫁。

深い悲しみとともに、故人・周囲の人を責める気持ち、そう思ってしまう自分を責める気持ちが同時にある。

故人との思い出にふけり、現実を認められない。

幻想空想と現実の区別がつかない状態。

3.抑うつの段階(承認)

絶望感、深い抑うつ、空虚感、無表情、希死念慮。

周囲のあらゆるものへの関心を失い、自分は価値のない人間だと思ってしまう。

適応能力に欠け、外出せず、引きこもりのような状態。

4.立ち直りの段階(適応と変化)

徐々にエネルギーが出て、新しい希望が見えてくる。

周囲との関わりを大切にしようと思えるようになる。

故人の死の現実を認められるようになる状態

今日は、平山正実の4段階について述べてきました。

これまで紹介してきた代表的な悲嘆のプロセスは、各研究者の切り口の違いによって各自の特色が出ている。いずれにおける悲嘆のプロセスを経るにしても、辛くて苦しくて悲しくても積極的に克服した人は、より成熟した人間へと成長することが出来るのである。

悲嘆は、現実を直視し能動的に立ち向かう課題であり、そこから何を学びどのように活かすかは各自の主体性にかかっている。

46歳で生涯を閉じた女性が抗ガン剤治療入院中に心の支えとして、「百朝集」(安岡正篤著)を読みながらそのとき感じたことを、読んだ項の余白に書き記していた。その中の、一端を紹介する。

「百朝集」本文十二「處世」の項の余白には、次のように記されている。

「人によって人生で背負う重荷は違う。何歳の時に何があるかがその人の生きることの課題かもしれない。四十代になって病という重荷と出逢う。悪しき出逢いの裏にきっと何か喜びや幸福があると信じて我が道を前に歩みたいものである。四十三歳の誕生日にて」

「家康の家訓が心にしみてショックをうける。涙が出そうになるくらい、病が身にしみる。人生には、重荷があるから人が磨かれていくのだと思う。重い荷物も家族に一緒にしょってもらっているから山を乗り越えていけるのだと心より感謝に堪えない。」

悲嘆のプロセスの代表的なものの紹介は、今回でひとまず終え、次回以降は、愛する人を亡くした事例を取り上げながらどのように生き直しをしていくかをお伝えしていく。

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