一燈を提げて暗夜を行く

皆さんこんにちは!

新型コロナウイルスの感染も落ち着いてきて日本社会でのマスクの着用は3月13日から個人の判断に委ねられることとなった。

今日は、「一燈を提げて暗夜を行く」について。

愛読書の1つに、佐藤一斎(さとう いっさい)の『言志四録』がある。この書は、その時その時で同じ言葉でも置かれた状況により身にしみる教訓が心を照らしてくれる。まさしく、「古教心を照らす、心古教を照らす」である。

佐藤一斎(さとう いっさい)

佐藤一斎(さとう いっさい、1772・安永元年~1859・安政6年)は、江戸時代の儒学者である。幼少の頃から読書を好み、武術にも優れていたという。13歳の頃には、その才能の頭角を現し、成人のような扱いを受けていたという。

33歳のときには、「昌平坂学問所」の塾頭に就いた。その後、70歳の時に、「昌平坂学問所」を統括する立場になった。彼の門下生は、3,000人といわれ、山田方谷、佐久間象山、渡辺崋山、横井小楠、若山勿堂、池田草庵、東沢瀉、吉村秋陽、安積艮斎、中村正直、林靏梁、大橋訥菴、河田藻海、竹村梅斎、河田迪斎、山室汲古、北條悔堂など、いずれも幕末に活躍した人材を輩出している。

言志四録

佐藤一斎が42歳から82歳にかけてまとめ上げたのが、『言志四録』である。『言志録』、『言志後録』、『言志晩録』、『言志耋(てつ)録』の4篇から成り収録されている語は1133条ある。

人生において、学ぶことや生きることの大切さが語られている。西郷隆盛や幕末の志士達に大きな影響を与えた。そこで語られている内容は、現代にも通ずる貴重な教訓、教えでもある。現代においても多くの人達やリーダーのためのバイブルと呼ばれ、生きる指針となっている。

一燈を提げて暗夜を行く

私は、この書の中で座右の銘にしている言葉がある。

「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ、只一燈を頼め。」

意味は、「暗い夜道を歩くとき、一張の提灯を提げて行くならば、如何に暗くとも心配しなくてよい(自分のおかれている厳しい状況)。ただその一つの提灯(わずかな可能性)を頼りにして進だけでよい。」である。

私の人生にも前の見えないことがあります。伴侶のがん闘病、死別、失業、転職など、不安に襲われ前が見えなくなる。そのようなときこの言葉は、私の心に一つの灯火を掲げてくれる。

また、米国企業日本法人でCFO(最高財務責任者)をしていたときに、大リストラがあり、その後、米国本社から社長への要請、引き受けましたが社内外には問題が山積みであった。まさしく前が見えなく不安だらけであった。そんなときもこの言葉は、私の心に一つの灯火を掲げてくれた。

どんな人にも、前の見えない道を歩んでいく時、不安を感じるものである。そのようなときに、心を照らす灯火があれば、暗い道も明かりで照らされている。

どのような組織のリーダーであっても、他の人よりも前に出てその組織を引っ張っていかなければならず、心の支え、向かうべき方向を照らす灯火は必要不可欠であり、リーダーとしての素質が磨かれ鍛えられるのではないだろうか。

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